本を通じて人の出会いが生まれるイベント、「おんさったデイ」。
ゲストの人生経験や生き様をちょっと「貸し出し」ます。

今回のゲストは、関市の老舗和菓子屋さん「和菓子処 関市 虎屋」の古田敦資さん。

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和菓子屋さんの家系に育ったとはいえ、なぜ自らの道も「和菓子職人」を選択されたのでしょうか。
そのこころをきいてみました。

「小さいころから手伝いをしていて、自分も継ぐのには何も抵抗はなかったです。
ただ、きっかけになったのは、中学生時代の『未成年の主張大会』。
あれで和菓子屋になりたいってかっこよく言っちゃって、自分で継ぐレールをしいちゃいました(笑)」

中学校の1年の頃には包装作業やもちをのばす手伝いもやるようになり、5時、6時起きだったそう。

大学卒業後、大阪の和菓子屋さんで5年間の住み込みの修行。
実家よりももう少し大きなところで修行をしたいと、知り合いのお菓子屋さんにつないでもらいました。

そこでは、まんじゅうを包む仕事など、技術的な練習を積まれました。
つまんだ餡が同じ重さになるように、夜も仕事終わりに修行していたそうです。
3、4年目になると、どら焼きのお仕事も。
お菓子の発表会も月に一度あり、日々技術を磨き、良いものを作る努力をされたそうです。

「修行場の工場長からは直接教えてもらうことはありませんでした。
でも一度だけ、オーブンで焼くときに、『焼くのも技術やぞ』と、教えてもらったことがあって。
それまで、手先とかの特別な技術を身につけていることが技術だと思っていたのですが、
焼く、蒸す、という下っ端でもやる仕事も立派な技術なのだと知りました。」

一緒に住み込みをしていた同期とは今も交流があり、最近は島根にも行ったのだとか。
島根、広島、千葉、福岡など…、古田さんと同じように和菓子屋の息子ばかりでしたが、ずっと本を読んでいる人もいたりと、タイプは様々だったそうです。

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修行先でたくさんの経験を積み、たくさんのことを感じた古田さんは、
関に帰ってきてからも、虎屋さんで一つ一つ自分の思いをカタチにしています。

「やっぱり一番は『おいしいものをつくる』という気持ち。
お客さんに喜んでもらうという言葉は漠然ではありますが、経営理念として社員と意識を共有するようにしています。
社員と一緒にモーニングなんかもしたりして、社内会議を行ったりもします。
虎屋のブログも、書いたら紙面で社員に知らせるようにしています。

最近はお客さんも和菓子の味を知らない人が多くなりました。
そういうお客さんたちに既存の和菓子を提供しても受け入れにくいので、生クリーム入りとかで和菓子を食べてもらうような、入り口を作りたいと思っています。

僕は0から1を作るんじゃなくて、1から1.5を考える方が向いているみたいで。
そんな考えで取り組むようにしています。」

「和菓子には絵心も大事ですが、ホットな気持ちも大事。
息子はどちらかというと絵心よりも、ホットな気持ちの方が大きいみたいです(笑)
虎屋を続けてゆきたい、という思いはありますが、まずは継ぎやすい状況を作っていきたい。
やりたいと思わせるのも僕の仕事だと思っています」

古田さん、ありがとうございました。